お見合いから始まる極上御曹司の華麗なる結婚宣言

「人生は平坦ではつまらない。だから何気ない日常に刺激的なゲームでもして駆け引きを楽しもうと思ってね。おまえにもこの生活を続ける上でなにかしらの希望があった方がいいだろう?」

ある意味、これは九条さんの温情だ。戸惑ったものの、よく考えてみればこの勝負、かなりの割合で私の方に分があると思われた。だって私がこんな俺様で強引な人に惚れるわけがないもの。

「魅力的なご提案だと思いますが、九条さんのお父様にはなんと説明なさるんですか? お父様は早く九条さんがご結婚されることを望んでいるようなので婚姻届を出すのを先延ばしにすることを了承してくれるかどうか……」

「本当のことを父に言う気はない。まぁその点はうまくやり過ごすつもりだ。なによりもずっと見合い話を断わり続けたこの俺が、今回はあっさりと引き受けて結婚すると言い出したことに父はとても上機嫌だ。こうやっておまえとの同棲生活もすぐに始めたわけだしな。だから俺とおまえで考えた記念日、例えばどちらかの誕生日とかクリスマスとか……そういう特別な日に婚姻届を出したいと思っていると言えば、簡単に納得するはずだ」

「……そうですか。それならばいいのですが」