「いいさ。あんたは悪くない。それに私は誰のことも恨んじゃいないよ」
「だけど…」
「言ったろ。うまくいけば全てが元通りになるって。建設現場に行ったら、まず私の死体を探しな。そして懐にある鏡を見つけるんだ。あの祠にあったものさ。そいつを月に掲げれば、全てが片付く」

ドアのノックはさらに激しくなり、ついには扉が開いた。

「さぁ、行くんだ!」

千秋さんのかけ声とともに、私は窓から外へ飛び出した。

体は疲弊しきり、傷だらけで、うまく走れなかった。

それでも、私は全力で走った。

五分近く走り、建設現場に到着した。裸足だった足は血だらけで、肺で呼吸する度に血の味がした。