みんなの表情から、血が抜ける。

「そんなっ! せっかくここまで生き残ったのに!」
「そうだよ! みんなで助かる方法だって、必ずあるはずだよ!」

夏実は「無理よ。一人しか生き残れない。それにその一人は…」と言い、細く息を吸う。

「環……あなたよ」

みんなの視線が私に集まる。

「どうして? なんで私なの?」

私だったら、私を選んだりしない。私が死んだあとも生きてほしいと思えるのは、悠介だけだから。

「排水溝の途中には、急に管が細くなる部分があるの。そこは体格が小柄な環しか通れない」
「なんで、そんなことが分かるの?」

夏実ならきっと、こんなひどいことは言わないはずなのに。

「ごめん、今は言えない。けど信じて。さっきも言った通り、死んでもみんなは生き返る可能性があるの。環、あなた次第で」