鬼が英語ができるという点においては良かったと言える。


「英語くらい簡単だ」


鬼が自信満々に答える。


子鬼たちが鬼と綾を交互に見つめて目を輝かせ始めた。


「それでは、お願いします」


綾は丁寧にお辞儀をして、口を開いたのだった。


……正直、聞きとる事ができたのは最初の方だけだった。


俺も少しは勉強しているからある程度の会話はできる。


だけど、それではおもしろくないと感じたのか、鬼が途中から会話のスピードを上げて行ったのだ。


綾はそれに必死で食いついていく。


もうどんな単語を発しているのか、俺の耳では理解できないくらいになっていた。


早送りのテープを聞かされているような感覚だ。


綾はギュッと手を握りしめて懸命に鬼との会話を続けている。


ここで綾の会話の速度が落ちれば、得点は低くなってしまうだろう。


綾もそれを理解しているから、食いついているのだ。