綾の手を借りて中央まで移動したミヅキは鬼へ視線を向けた。


「あたしはピアノを弾くわ」


ミヅキが堂々とした声色でそう言った。


そういえばミヅキの姉はピアニストだった。


そんな姉を同じようにミヅキもピアノをしていると、風の噂で聞いたことがあった。


「いいだろう。準備しろ」


その言葉を合図に、数人の子鬼がちが動き始めた。


たった数人でピアノを準備できるのかと思ったが、小さな観覧車までここに準備したのだからできないはずはなかった。


ほどなくして子鬼たちがグランドピアノを用意してきた。


確か船の中で使われていたものだ。


綾がミヅキから離れて戻って来る。


ミヅキが終れば次は綾の番だ。


緊張しているのか、不安そうに視線を泳がせている。


俺はそんな綾の手を握りしめた。