だけど、それだけの差でどれくらい時間が変わるのかはわからなかった。


小恋は自分のワンピースをしげしげと見つめた後、鬼を見た。


「行きます!」


小恋がそう宣言すると、どこから持って来たのか鬼が笛を口にくわえた。


運動会などで使われるような笛だ。


次の瞬間、ピーッ! と甲高い笛の音が響いていた。


それを合図に小恋が動く。


それは目にもとまらぬ早業だった。


こんなに近くにいるのに、なにがどうなっているのかわからない。


気が付けば小恋はワンピースを着ていたのだ。


広間の中は静まり返り、鬼たちはポカンと口を開けて小恋を見ている。