しばらくすると先ほどの子鬼が小恋のバッグを持って戻って来た。


何が入っているのか、バッグはパンパンだ。


小恋が床にバッグを置き、中を探る。


ドライヤーやボディーソープが次々と出て来る。


この客船は着のみ着のままでも宿泊できるようになっているのに、小恋は自分専用の物をすべて持ってきていたようだ。


「あ、あのシャンプーすごくいいやつだよ」


小恋のバッグから出て来たシャンプーを見て綾が呟く。


女子って感じだ。


やがて小恋はバッグの中から白いワンピースを取り出した。


大きな花柄が入っていて、いかにも女の子っぽい服だ。


「ワンピなら、ズボンとかよりも早く着替えられそう」


綾が言う。


確かにそうなのだろう。


ズボンだと足を2本、別々の場所に突っ込まないといけないからな。


ワンピースやスカートなら、同じ大きな筒に両足を突っ込めばいいだけだ。