アイドルがコンサートなどに使う衣装とは違い、全く変哲のない洋服での早着替えだ。


小恋が普通に廊下を歩いていると思っていると、次の瞬間には違う服を着ている。


早着替えの瞬間を見てやろうと企む男は絶えずにいたが、今だそれを見た者はいなかった。


小恋の早着替えがこんな場所で見れるなんて思ってもいなかった。


俺は知らない間に生唾を飲みこんでいて、横にいた綾に睨まれた。


「おもしろそうじゃん。服の用意は?」


「部屋にある私服に着替えます」


小恋がそう言うと、子鬼の1人が小恋に駆け寄って来た。


部屋番号を聞いている。


鬼たちはなにがなんでも俺たちを広間の外に出す気はないようだ。