「くそ! なかなか止まらないな」


ジャージはすでに真っ赤に染まり、それでも血は出続けている。


このままじゃ本当に危ないかもしれない。


「ねぇ、よかったら手当てしようか?」


そんな声が聞こえて来て視線をやると、そこには救急箱を持った子鬼が立っていた。


その姿にキョトンとする俺。


「え……?」


「ゲーム以外のでの死人を出さないために、一応は色々用意してあるんだよ」


そう言い、自慢げに救急箱を開けて見せる子鬼。


その中には強力な止血剤もあった。


子鬼は馴れた手つきで薬を塗る。


それは相当しみるもののようで、ミヅキが「ぎゃっ!」と短く悲鳴を上げてきつく目を閉じた。


だけど、見ている間に血は止まったのだ。


ホッとして胸をなで下ろす。


「さーて、次は個人戦だ」


血が止まったところを見計らい、鬼がそう言ったのだった。