「大丈夫。きっと、大丈夫だから」


優しく髪を撫でると、綾はしゃくり上げて泣き始めた。


この後のゲームで俺が自分から死を選ぶと知っていて泣いているのか。


それとも、1人残されてしまうことを恐れて泣いているのか。


俺にはよくわからなかった。


「早人、あたしも早人の事が好きだよ。だから……」


言いかける綾の唇を、俺の唇が塞いでいた。


暖かな感触が伝わって来る。


柔らかくて、死ぬほど幸せになれる感触。


普段からこんな風に積極的に生きていればよかった。


死ぬ間際になってキスしたって、切ないばかりだ。


「ありがとう、綾」


俺は綾をきつく抱きしめて、そう言ったのだった。