「早人……」


綾の手が俺の手を握りしめる。


俺はそれを無意識の内に握り返していた。


「綾……。俺は綾の事が好きだよ」


こんな状況になっても、その気持ちは変わらない。


俺は綾が好きだ。


綾の事を最後まで守りたいと思う。


「早人……」


綾が涙ぐみ、俺に抱き着いて来た。


まだシャンプーの香りが微かに残っている。


血肉にまみれながらも、綾は俺の好きな綾のままだった。