船内に残っていたのはこの9人だけだった。


先生は愚か、乗組員たちの姿もない。


広間には俺たち9人と、鬼たちがぞろぞろと集まってきていた。


鬼は先ほど落ちて来たシャンデリアを片手で軽々と持ち上げると、邪魔にならない場所まで移動させた。


俺たちを広間の中央に立たせ、その周囲を子鬼たちが取り囲む。


生まれたてでおしゃぶりをくわえている鬼もいれば、赤ちゃん鬼をあやしている中学生くらいの鬼もいる。


こっちでは追いかけっこをする兄弟鬼がいて。


あっちはおままごとを始める姉妹鬼がいる。


これ、全部が家族なのか?


見ていると途方に暮れそうになってしまう。


途中まで数を数えてみたけれど、30人を超えたあたりで断念してしまった。


「これから何が始まるんだろう」


綾が俺の手を握りしめたまま、そう呟いた。


俺は首を左右に振る。


千春の言った通りただのサプライズならいいけれど……。