鬼の視線がこちらへ向く。


「なんだ? 気絶か?」


「すぐに目は覚める。少し休ませてくれ!」


「はぁ? ゲームの最中だろ。起きてないと次に進めないだろ」


鬼は足で床を叩くようにしてそう言った。


「ねぇ、これ食べていい? ゲームの中断になるなら食べていい?」


子鬼が目をギラつかせて綾を見る。


「やめろ、近寄るな! これはお前らの食べ物じゃない!!」


そう言って追い払っても、決定権は俺にはない。


子鬼たちは鬼の判断をウキウキしながら待っている。


「ちょ、ちょっと待て!」


俺は大きな声でそう言うと、さっきまでいた客席へと移動した。


そこには沢山の食べ物と飲み物もある。


その中から水の入ったコップを手に取ると、走って綾の元へと戻った。


「ごめんな」


一言綾に声をかけ、その水を綾の顔面にかけた。