文夫の力をねじ伏せるように力を込める。


文夫の右腕が微かに震えている。


元々そんなに力が強くないのか、今度は真っ赤になっている。


「そんな、そんな……」


文夫の右腕がどんどんテーブルに近づいていく。


もう少しだ。


「いやだ、死にたくない」


その時、テーブルの上にポツポツと水が落ちて来た。


ハッとして顔を上げると、文夫の目から大粒の涙が流れている。