「あ、いや。これが突っ込んできて転覆しなかったなら、それはそれですごいと思うよ」


5組の三宅イブキが船を擁護するようにそう言った。


確かにそうなのかもしれない。


だけど今はそんな事どうでもよかった。


こんなに大きくて金色に輝いている船なんて、今まで1度も見たことがなかった。


「こっちの船に気が付かずに突っ込んできたのね」


綾が震える声でそう言った。


「たぶん、そうなんだろうな」


「どんな運転してんだよ。とにかく、助けを呼ばないと」


文夫はそう言うが、周囲に人影はなく誰に助けを求めればいいかわからない。


「こんな大きな事故なんだ、きっともう誰かに伝わってるはずだ」


浩成がそう言うので、ひとまずは安心した。


企業の為の勉強はしてきているけれど、こういった時の対応についてはてんでダメだった。


「相手は大丈夫なのかな?」


ミヅキがそう言い、金色の船を見上げる。


「声をかけてみよう。おい、大丈夫かー!?」