「うっ、」



小さなうめき声が聞こえたかと思ったら。



「うわぁぁあああ!」



大きな悲鳴に変わった。


奈津美が携帯を片手に握り締めながら、ベランダへ向かって走っていく。

窓ガラスを思い切り開くと、奈津美は……。


消えた。


……消えたんじゃない。

飛び降りた。


クラスメイトがベランダに走り寄る。

この教室は3階に位置している。

3階から飛び降りたら……。



“即死”



奈津美は即死だった。

すぐに救急車に運ばれたけれど、息はなかった。


この教室のベランダの真下。

自らの血の海の中で、奈津美の命が途絶えた。



誰も何も言わない。

ただ、この教室にいる全員が感じていること。


……これは、“安住 里香の復讐”だということ。


だけど、なぜ、最初の“犠牲”は奈津美だったのだろうか。

奈津美は、安住と仲が良かったのに……。



目の前で奈津美が飛び降りた。

それは安住の復讐が始まる合図だった。