教室にいる全員が、席に着いたことを確認する吉野先生。



「……皆に報告がある」



大きく息を吐いた吉野先生の顔は、疲れているようだった。

やつれているようにも見える。


そんな吉野先生の口から出た言葉は衝撃的なものだった。



「安住 里香が。……亡くなった」



その言葉に息をのんだ。


安住が、亡くなった……?


クラスメイトたちが一斉に、安住の座席に目を向ける。

確かに、安住は居なかった。



「遺書が見つかっている。原因は“いじめ”だ」



……安住 里香。


このクラスの、いじめの対象だった。

安住を集中的にいじめていたのは、美琴だ。


クラスメイトの視線が美琴に移る。


『お前が、安住を殺した』


と、言うように……。


クラスメイトの視線に気がついた美琴は、椅子を倒す勢いで立ち上がった。



「なによっ。私が安住を殺したと言いたいの!?」



ヒステリックに叫ばれた言葉に、言い返す人は誰もいない。

無言が美琴を追い詰めていく。



「あんたたちだって、黙って見ていたじゃない!」



美琴に冷たい視線を送るクラスメイトたち。



「彩だって! 安住をいじめてた!」



美琴の口から、私の名前が飛び出る。

強い言葉に体が固まった。

クラスメイトの視線が散らばる。


まるで犯人探しをするかのような目だった。