「安住の家に行こう」



私の呟きに、顔を上げるクラスメイト。



「安住の家に行って、安住に謝ろう!」

「いや、でも……」



顔を見合わせるクラスメイトたち。

この状況で、安住の家に行くなんて。

だけど、この状況だから、安住の家に行くんだ。



「私は行くから! 他に行く人はいる!?」



手が上がらない。

誰も行かないんだったら、私ひとりでも行く。



「わ、私。安住さんの家に行きます……」



声がするほうへ視線を向けると、クラスの委員長が小さく手を上げていた。



「いじめを……。見て見ぬ振りをしてしまったから……」



委員長の声が震えている。



「私、クラスの委員長なのにっ。安住さんを、」



その続きは、言葉にならなかった。

委員長が泣き崩れる。



「委員長……」



涙を流し続ける委員長の背中をさするクラスメイト。

委員長の責任じゃないよ。

みんながそう思っている。


じゃあ……。

誰が責任を取るべきなのか。


責任を取るべき人は、美琴だと思う。

その雰囲気を感じ取ったのか、美琴が乱暴に言葉を吐く。