「はい!雑貨屋さんで一目ぼれして……。安物ですけどお気に入りなんです」

私がそう言うと、美丘さんは「可愛い人は何でも似合いますね。とっても似合ってます」と微笑んだ。褒められて私の顔が赤くなる。すると、坂田さんも「確かに似合ってます」と言ってくれた。嬉しい。

「美丘さんはご注文は何になさいますか?」

「ん〜、じゃあロイヤルミルクティーにしようかな」

「かしこまりました!」

ロイヤルミルクティーを用意し、私はすぐに美丘さんに持っていく。

「お待たせしました」

「ありがとう」

さて、洗い物の続きをしないとね。そう思いながらくるりと体を動かすと、頭がボウッとしてしまう。目の前に光が飛んだ。

「大丈夫ですか?」

ドアが開き、お客さんが来たと思った刹那、私の体が誰かに支えられる。振り向くとメガネをかけた知的な雰囲気のイケメンさんがいた。大病院の跡取りで外科医をしている黒木忍(くろきしのぶ)さんだ。