「どうかされましたか?」

私がジッと坂田さんを見つめると、坂田さんは「い、いえ!何でもないです!」とますます顔を赤くする。

「今日も……とっても可愛いですね」

小声で言われ、私は「からかわないでくださいよ〜」と笑いながらコーヒーを用意するために席から離れる。チラリと坂田さんを見るとまだ顔は赤かった。

坂田さんのコーヒーを用意し、坂田さんに「お待たせしました」と言いコーヒーを出していると、カフェのドアが開いてまたお客さんが入ってくる。

「いらっしゃいませ!」

次に入ってきたのも、よくこのカフェに来てくれる常連さん。背が高くて目の下に泣きぼくろがあるおしゃれなイケメンさんだ。名前は美丘高嶺(みおかたかね)さん。貿易会社の社長をしてる。

「萌ちゃん、それって新しいネックレス?」

美丘さんに訊ねられ、私は胸元で揺れるネックレスに触れる。雑貨屋さんで見つけて買ってしまったハートのネックレスだ。