ガチャ
「た、ただいま!」
しん
当然のように静まり返った家の中
靴を雑に脱ぎ捨て、早足で黒い扉の前に来る
でもちゃんと一呼吸おいて
そして扉を叩いた
「織原くん、帰りました」
ガサ…
中で布の擦れる音が聞こえた
よかった生きてる
「は、入っていいですかー」
確認を取ろうとした、その時
ガチャ
!!
私の手に触れるか触れないかのところにあったドアノブが動き、思わず手を引く
そして外開きのドアが開いてきた
反射的に二歩ほど下がる
開いた扉の向こう側、見上げないと見ることができない織原真琴の顔を見る
「た、ただいま」
「……」
扉に手をかけたまま、まだ少しダルそうに体を前屈みにしている同居人
その虚な目が私を捉えた
「…遅い」
え?
不機嫌に私を見下ろす
「遅い」
おわっ!?
目の前にいた同居人の顔がぐんっと近づいたと思ったら、私の肩に腕を回すようにして倒れてきた
思わず両手を広げて受け止めようとするも、もちろんできるはずもなく
2人揃って地面に倒れ込んだ
どすん
「ぎゃあ!」
まだあんまり慣れないこの家の香りが強く香る
地面に倒れたから背中か頭かどこかしらぶつけると思ったけど
私の肩に回っていた織原真琴の腕がクッションになった


