織原真琴も家では一人でいることが多かったのだろうか
私はずっとそうだった
お母さんは大体家にいなかった
熱を出した時も、大雨の日も大抵一人
それが普通だった
だからだろう
私も、彼も
誰かに甘えたり、頼ったりすることが
きっと、とても下手くそなんだ
ずっと前に、仕事で疲れていたお母さんが私に言った言葉
『梓はとても強い子よ。でもね、1人で生きていく強さよりも、もっと大切なものがあるの』
彼も私も、きっと
一人で生きていける『強さ』を
そのもっと大切なことを知るよりも前に、身につけてしまったんだ
だから
もしこの生活によって
似たもの同士の私たちが偶然集ったこの家での生活で
お互いの何かが変わるのなら
知らなかったことを知る、チャンスだと言うのなら…
「大人しく看病されてください」
「……ん」
案外素直にうなずいた織原真琴
思わず頬が緩んだ


