「朝ごはん食べましょう」
「だから良いって言ったのに」
そう言いつつもこちらに向かってくる織原真琴
学習能力はあるようだ
「朝も夜もコンビニで昼は購買なんて体に悪すぎですから」
「別に困ってねぇのに」
「今は!困ってないかもしれないけど将来早死にしますよ」
私の言葉に変な顔してこっちを見る織原真琴
「だから!栄養を取るのは大切です」
「…あそ」
くあっとあくびをして着席する
昨日同様、4人がけダイニングテーブルの端と端に座る
「いただきます!」
頻繁にため息をつきながらもご飯を食べてくれる織原真琴
…ふふ
「なに笑ってんの気持ち悪い」
え、ひどい
「やっぱご飯は誰かと食べたほうが美味しいですね」
嬉しい時は笑うものでしょう
「…味なんか変わらないだろ」
「大切なのは味じゃないですよ」
「は?」
「言葉じゃ説明できませんけど」
「なにそれ、意味不明」
…いつか、この人がこの言葉の意味を知ることができるように
ご飯を作ろう
偶然とも運命とも、どうとでも言えるこの同居生活を
不思議なご縁で出会い、始まった私たちのこの生活を
少しでも好きだと思ってもらえるように
お節介な私にできることをするんだ