梓side


昨日はえらい目にあった…

翌日


夏休み初日で同居人がまだ寝ている中

洗面所の鏡に映る自分…の首元の赤い跡を見る

きすまーく?とか言ってたっけ

なんなんだろ

内出血とか言ってたよね

じゃ、ただの怪我?


……

不意に昨日の光景がフラッシュバックして
ぞっと身震いする

別人のようなルイくん

私の力ではびくともしなかった男の人の力
抵抗できないことの恐ろしさ…

そして、自分の弱さ

受けた衝撃が大きすぎてまだ夢なんじゃないかと思ってる


…だけど

雨の中、必死に真琴くんのところへ行こうと足掻いた記憶がある

どうすればいいかわからなくなって
誰に頼ればいいのかわからなくなって

それでも、とにかく

真琴くんのところへ行こうと動いた足


男の人が怖い

そのはずなのに、真琴くんは違った


声を聞いた瞬間、力が抜けた

抱きしめられた時に香った、嗅ぎ慣れた匂いに安心した

我が家の匂いだ

この人は、安心できる人だ


もう一度、自分の首元の赤い跡を見る

そしてそこに指を沿わせてふっと息をつく


…ドキドキした


この跡になんの意味があるのかは知らないけど

真琴くんがこれをつけてくれた時すごいドキドキした

ただ隠してくれただけなのに