リビングの入り口にぽつんと立つ梓は、俺やフランスのあいつよりも一回りも二回りも小さい
細くて、か弱い女の子だ
梓が、梓の持ってる心が、弱くないのは知ってる
俺よりも強くて、逞しいことはわかってる
でも、それでもお前は
俺からしたら、強く抱きしめたら簡単に壊れてしまいそうなほどか弱く見える
息を呑むほど綺麗で、薄くて脆いガラス細工の様に
だから俺は、もう二度と…っ
「梓が自分でお節介を認めるほど面倒見がいいことは分かってるけど、自分の身を危険に晒してまですることじゃないだろ!」
「っ…」
「今日だってそうだ。一歩間違えれば取り返しのつかないことになってたかもしれない。お節介と自己犠牲は違うんだよ!」
「ま、ことく…」
「俺はもう二度とあんな梓は見たくない、二度とこんな思いしたくない、もし梓があいつから逃げられてなかったら…」
ゾッとする…
梓が泣き叫ぶ姿を想像すると心臓を鈍器で殴られたみたいに苦しくなる
怖いんだよ、梓が簡単に壊されそうで
怖いんだよ、お前がいなくなりそうで
「頼むから、もっと自分を大事にしてくれ…っ」
梓が目を丸くして早口に捲し立てた俺を見ている