「梓が欲しいんだ」

「ルイくん?どうしたの」

さらに引き寄せられ
再び抱きつくように密着するルイくん

明らかにさっきと様子が違う

子供のような無邪気さは消え、今私の目の前にいるのは…同級生の男の人だ


「梓好き」

「何言ってんのルイくん。私たちまだ会って2日目だよ?」

「関係ないよ。フランスにいる時も佳奈に梓の話いっぱい聞いてた。明るくて元気で優しい子だって。佳奈に似てすごい可愛いし、一緒にいて安心する。なんかもう梓を逃したから俺一生恋愛できない気がする」

な、な、な
恥ずかしいことをなぜそうもすんなりと言えるんだ!!

「お願い梓、俺のものになって」

なんちゅう言い方するの!?

「ルイくんちょっとあの…それは難しい…かな」


「…梓」



ぞくり

急に声のトーンがガクッと低くなったルイくん

抱きしめられていた手が動き、ぐっと持ち上げられる

「わっ!」

思わずルイくんの首にしがみつく


「お願い梓」

る、るい…くん?

ルイくんの目がギラッと光る

そのままダイニングテーブルの上に座らされる


「…ねぇ梓」

さっきまでのルイくんとはまるで違う光を持った目に背中が強張る

「僕さ、本気で欲しいと思ったものは、意地でも手に入れるタイプなんだ」


その整った顔が綺麗に微笑んだ時

こめかみから首元に冷や汗が流れた…