無気力さんと同居するらしい



騒がしいフランス人を華麗にスルーしながら掃除を進める

なんかもう懐かしいな

この床も壁も天井も

見慣れた景色とは少し違うように感じてしまう


最初は他人の家で暮らすなんて正気じゃないって思ってたけど

いつのまにかあんなに馴染んでいた

ちょっと癖の強い同居人にもね


「梓」

「どうしました?」

「あれなに?」

…あー

「家族写真ですね」

「これ誰?」

「…お父さん、かな?」

ずっと棚に飾られてる写真

生まれたての私とお母さん、そして知らない男の人

「佳奈の旦那さん?」

「そう」

「へぇ…家族写真…か」

「ルイくんの家はどんな感じなんですか?」

「…んー。すっごいつまらない感じ」

つまらない感じ?とは?


「母さんも父さんも僕になんの興味もないよ。生まれちゃったから仕方なく育てたって感じ。僕が自立できるようになったらすぐに家を追い出されたよ」

…え

変わらぬ音でそう言った彼の顔を見てもいつも通り笑っているだけ

「こう見えて日本育ちなんだけど、14歳の時、家を出されてフランスに行ったんだ」

14歳…

「ま、別にいいんだけどね。おかげでこの仕事ができてるんだし、エマや佳奈に拾ってもらえたから」

……