10分にも満たない電話
それでも充分だった
…元気だった
よかった
仕事に追われてげっそりしてないかな?とか
ご飯食べてるかな?とか色々心配したけど
大丈夫だった
「…ふふ」
「よかったな」
リビングの扉が開き、真琴くんが入ってきた
「ありがとう真琴くん」
なんか悩み聞くとか、相談乗ってくれるとかじゃなくて
ただ単に真琴くんの手によって電話をかけただけだったけど
多分自分だったら結局電話かけれずじまいだった気がする
だーいぶ強引だったけど
…それでも
「ありがとう」
「俺は発信ボタン押しただけ」
「ふふっほんとにね」
ツンとして言った彼に思わず笑いが溢れた
「ところでさー梓さん」
ん?
「求婚って何?」
え
「お婿さんってなんのこと?」
え、な
真琴くんのこわいくらい綺麗な笑顔がまっすぐ私を見る
「き、聞いてたの?」
「聞こえたの」
確かにそこら辺ちょっと声大きかったかも
「出会い頭に求婚?誰に?いつ?」
え……と
「もう…遅いから寝ようか」
「逃げんな」
ぐいっ
両腕を掴まれ、引き寄せられる
ひぃー
「だ・れ・に?」
な、なんて恐ろしい笑顔…
「うぃ…ぃ」
「言うまで離さないからな」
ドッドッと心臓が激しいメタルバンドを始めた
仮にも好意を抱く相手にここまで密着されると健全な女子高生の脳みそはちゃんと真っ白になります


