ガチャ
「わ」
「うお」
デジャヴ
部屋を出た瞬間にちょうど部屋の前を通りがかった真琴くんと鉢合わせる
あ、しまった
また部屋着だ
大きめのTシャツに短いズボン
…まあいいか
今は上着も羽織ってるし
っていうか真琴くんならそんな気にしないでしょ
この前の寝坊した朝も大丈夫だったし
「あ、ごめん」
「………ぃゃ」
「今から寝るの?」
「………そんなかんじ」
なんですかその間
「…梓、は、寝ないの?」
「んーいや…ちょっと」
「…なんかあった?」
え
思わぬ言葉に思わず顔をあげる
あのだるがり屋の真琴くんにそんなことを言われる日が来るとは
「…んー…んーん。大丈夫」
でもこれは私の問題だし
大丈夫だと意を込めてにっと笑ってみせる
「じゃ、おやすみ」
軽く手をあげてリビングに向かおうとした
しかし
パシ
え
進もうとした体が止まる
真琴くんに腕を掴まれた
「…何かあったんだろ?変な顔してるぞ」
へ、変な顔?
「…話くらいなら聞く」
きゅーんと胸が詰まる
恋してるって実感する
真琴くんの優しさに、胸が熱くなる
「…何か…あったわけじゃないけど」
実際はすごいことあったけど
今の悩みはそっちじゃないし
「…ちょっと…お母さんのことで」
腕を掴まれたまま、真琴くんを見上げた
「…っ……こっち」
ちょっと強い力でその腕を引かれ、二人でリビングに向かう


