「噂って…?」

「付き合ってるとか、梓が織原真琴たぶらかしたとか」

え、なにそれ
くだらなー

思ったよりくだらない

「それで織原真琴の周りにいる女子たちに目つけられたとかなんとか」

あーはい
それはそうですね

実際絡まれました

「…梓、何があったの」

うーん…


まるでフィクションの様な出来事だった昨日の事件を結花に伝える

と、話すに連れて結花の目がやけに綺麗に怪しげに光り始める

「……それ何組の誰?」

え"

「どんなやつだった?」

結花の…目がギラってるよ

「えっと……よく、覚えてない…かな」

「思い出したら教えなさい。いてこますから」

い…?
え、なんて?


「そんなことより」

ん?

唐突に結花が珍しく声を張った

「高校生にもなってそんな馬鹿みたいな噂にかじりついて、だらだら喚く愚か者が、思ったよりいるものね」


…おおー

結花が一際大きな声でそう言ったせいか
私を見る嫌な目とひそひそ声がピタリと止んだ

美人の毒舌って…なんか来るものがあるよね


「結花…ありがと」

「なんのこと?」

肩にかかった黒髪をサッと払って少し微笑んだ