好きとか、恋愛感情とか

よくわからない

でも
なんとか蒼馬に梓が盗られるかもしれない

遠ざかるその背中を睨みつけながら

ぎりっと強く口を結ぶ


…何なんだこの感情は

なんていうんだ

十数年生きてきて、感じたことのない新しい感覚


「…ことくん、まことくん!」



「まことくん!」




はっきり名前を呼ばれ、思わず声のする方を勢いよく見る

あ…

キョロキョロと周りを見ながら
下駄箱の影から上半身だけ出しているのは

今現在俺の脳内をかき乱している同居人


「梓?」

「しーっ!」

人差し指を鼻の前に立てて、いーっと顔をしかめている

か、かわいい



脳内で自分を殴る