「俺、梓のこと好きだよ」

……え

「私も…好きだよ?」

「そうじゃない。分かるだろ?」

……


「…梓のことが好き。付き合って欲しい」

恋愛感情の…好き

蒼馬の目がそう言っている


付き合いたいと思う好き

友達の好きじゃない

恋愛の好き


蒼馬のいつになく真面目な目に、熱を持った頬に
胸が締め付けられる

「今すぐ返事して欲しいわけじゃない。ただ言っておこうと思って…手遅れになる前に」

手遅れ?

蒼馬のその言葉にどんな意味があったかは分からなかったけれど


それよりも…

…どうしてだろう

なんで、恋愛って言葉を聞いて、好きって言葉を聞いて

連想されるのが

目の前にいる…蒼馬じゃなくて

…っ


静かに脳内を横切るのは無気力な同居人の顔

真琴くんなんだろう


なんで真琴くんなの?

ダメだよ私

蒼馬がせっかく想いを打ち明けてくれたのに

こんなの失礼だよ


…なのに

わかっているのに