「えー今日はね、実験をね、したいとね、思いますね」
話し方の癖が強い化学のおじじ先生が言った
わーい実験だー
別に実験好きなわけじゃないけど授業よりはマシだ〜
「えーね、説明しますね」
はいね、というわけでね……
「梓、試験管持ってきて」
「はいよ」
グループを組んで実験開始
当然のように結花と蒼馬と同じグループになる
手際良く作業を進めて私に指示まで回す結花
さすが、仕事が早い
えっと、試験管は…あったあった!
窓枠に並べられていた試験管に手を伸ばす
と、誰かの手とぶつかってしまった
「あ、すみませ…うぇ」
顔を上げた時に視界に入った人物
「なんだよその反応」
ひそひそとした声でそう答えたのは
我同居人、真琴くん
くそう…なぜこうもタイミングが悪いんだっ
周りを気にしつつ、小声で呟く
「なんでもないでーす。他人のフリしてくださーい」
イヤミったらしく言ってやる
「ふーん…」
さっさと結花のところに戻ろう
試験管を持って背中を向けた
すると
「おい梓」
!
ボソッとささやくような声で名前を呼ばれる
ぐっ
反応をする前に腕をひかれて身体が後ろに傾く
「へ?」
カサ
…?
「じゃ、他人のフリ頑張って」
耳元でそう言われて掴まれていた腕が離れる
反射的に真琴くんを目で追うと、人差し指を口元に当てて
『しぃー』
とやって見せた
…残ったのは
固まっている私と…試験管を持っていない方の手に握らされた
紙…?


