なんて、イレギュラーな経験が私にはある
「それで自転車が直るまでの一週間、毎朝同じバスの一番後ろの席に2人で座って、くだらない話をしたんです」
「…くだらない話?」
うん
本当にくだらない話をした
「目玉焼きには醤油か胡椒かとか、暗い所が苦手だとか」
「ふは、くだらねぇ」
でしょ?
「でも…すっごい楽しかった」
たった一週間だったのに終わりが名残惜しかった
「…それなのに私、最後のバス通学の日に言い損ねたんです。来週からは自転車通学に戻ること、バスには乗らないことを」
「……」
それで、何も言えずにお別れになったんだ
なんて後悔したところで
今更意味のない話なんだけど
「さっきは何故か…真琴君がその男の子に見えて、それでつい…」
駆け寄った
ああ、私、その男の子に会いたかったんだな
あの日の夢を頻繁に見るのも
真琴くんを見間違えるのも
わざわざ走って近づくのも
そういうことでしょう
たった一週間だったのに
「恋でもしてたんでしょうかね」


