こちらを見上げる真っ直ぐな瞳。 髪の毛から滴り落ちる水滴。 彼の濡れた頬に私の手がそっと触れる。 私が笑うと、彼も微笑む。 数秒見つめ合うと、彼の手が私の後頭部に回って… それを合図に、私もゆっくりと唇を彼に寄せた。 雨音が響く静かな夜。 薄暗い屋内プールで、私と桜河は初めてのキスをした。 初めて触れた彼の唇は、少しだけ冷たかった。