涙に濡れた瞳のまま、俺は家に帰ってきた。

 今日は中学の卒業式。

 そして俺は、中学を卒業して、高校生になる。

 ずっと一緒につるんでいたヤツらと会えなくなるのは寂しいが…。

「…夢を叶えるんだからな」

 下を向いたままでは、いられない。



「ただいまぁ」

「おかえり、逢桜(おうさ)

「目ぇ、腫れてねぇ?」

「ん?言われれば気付く…くらいだな」

 父さんは軽く笑うと、

「気になるなら顔洗え」

 と言った。

「あぁ…」

 その手があったな。