いるはずのない人物がそこに座っていた。


叔母と向かい合わせに座り、偉そうに脚も腕も組んでいる横柄な人物。


「…なん…で…」


…母親。


もう二度と会うことはないと思っていたのに。


なんで、今さらこの女が…っ。


「……っ」

 
過去の憎しみが沸々と沸き上がってきて、理性の蓋が今にも飛んでいきそうな感覚に陥る。


「あら、久しぶりね。茉莉愛だったかしら?それとも雪花?あーー、たしか茉莉愛が死んだのよね?じゃあアンタは雪花か」


神経を逆撫でるような発言に、込み上げてくるドス黒い感情が止まらない。


力の限り握りしめている拳が勝手に動きだしそうで、爪を食い込ませて堪えているけれど、溢れてくる涙は止められなかった。