世界が終わるとき、そこに愛はありますか

別れを惜しむ間もなく車は動きだし、窓の外の深景さんは、さっと踵を返し雑居ビルの中へ消えていく。


触れられた頭がぽーっと火照っている。


「雪花ちゃん、アイツに惚れたんだ」


涼はそういたずらに笑った。


「昔からアイツはモテるんだよなー。アイツの方がよっぽど女関係ヒドイのにさ。ザキもそう思うっしょ?」


「…そうっす…かね?人並みじゃないっすか?」


運転手…ザキさんは歯切れ悪そうに答えた。


たしかに、初対面の女の頭を簡単にぽんぽんするあたり、かなり女慣れしてるんだろう。


「ねぇ、雪花ちゃん。アイツは雪花ちゃんが思ってるような良い男じゃないからね」