世界が終わるとき、そこに愛はありますか

「いっ…」


握り潰されてるんじゃないかという痛みが左腕に走る。


「やめて…痛いよ。どうしたの?」


何も気づいてない、何も知らない、を突き通すしかない。


あたしの嘘がどこまで涼に通じるか…。


「雪花ちゃんって、茉莉愛と同じで嘘がヘタだよね」


にっこり、不気味に笑う涼と目が合った瞬間、背筋がゾッと凍りつく。


「う…嘘って?あたしは何も…」


涼の真っ黒な瞳があたしを捕らえて離さない。

 
「俺と茉莉愛は付き合ってたのに、いつもあの女はそれを否定した。いくら客との恋愛とはいえ、あそこまで否定する必要ないじゃんね」


憎しみのこもった目で、遠いどこかを眺める涼。


…お姉ちゃんと付き合ってたって思い込んでるんだ。