世界が終わるとき、そこに愛はありますか

─ガチャ…


恐る恐るトイレのドアを開ける。


「遅かったね」 


「…っ!!」


目の前に涼が立っていた。


トイレに近づいてきた足音なんてしなかったのに…。


「ちょっと…お腹壊しちゃって」


冷や汗が止まらない。


「へぇ。水を流す音が聞こえなかったから、てっきり警察にでも通報したのかと思った」


…やっぱり気づいてる。


涼がストーカーだってあたしが気づいてしまったことに、涼は気づいてる。


水を流し忘れたのは痛恨のミス。


もうどうしようもない。


とにかく、なんとかしなきゃ。


「女の子のトイレの音なんて聞かないでくれる?恥ずかしいじゃん」


ヘラヘラ笑ってリビングに戻ろうとするあたしの腕を、涼がガッと掴んだ。