**
「なぁ、雪花」
ホテルに戻り、しばらく気まずい時を過ごしたあと、徐に深景さんが口を開いた。
めったに名前を呼ばれないから、呼ばれると緊張してしまう。
「……さっきのことなら、気にしないで」
なんで泣いちゃったんだろうな、あたし。
バカみたい…。
あんなの、ただの重い女だと思われちゃうのに。
「そうじゃなくて。真剣な話だから、こっち来て」
深景さんから離れたベッドに座っていたあたしを、わざわざソファに呼び寄せる。
真剣な話…ってなんだろう。
深景さんの向かいのソファに座り、恐る恐る彼を見上げる。
その彼の表情はいつになく真剣。
「…どうしたの?」
ただならぬ空気に、いやに緊張する。
カーテンの隙間から射し込む月光が深景さんを照らす。
「…まず、謝りたいことがある」
「謝りたいこと?」
あたし…何かされたっけ。



