世界が終わるとき、そこに愛はありますか

「そんなことできない。あたしは、お姉ちゃんを殺した犯人を絶対に許さ…」


斜め前のテーブルに座ろうとしている一組のカップル。


女性がのほうは唯さん。


そして、腰まである真っ黒の長髪に薄い銀縁眼鏡をかけた男…。


あたしの視線に気づいた涼が斜め後ろを振り返り、呟く。


「…浅香琥太郎……」


やっぱり彼が浅香琥太郎…。


よく見ると左頬に深い傷痕が残っている。


「気づかれないうちに帰ろう。早く準備して」


涼が小声で指示するが、唯さんがこちらに気づいてしまった。


「あれっ、雪花ちゃんだよね?こんなところで会えるなんて嬉しい」


悪気なさそうなニコニコした笑顔であたしに手を振ってくる。


「…へぇ。お前が藤堂雪花か」