世界が終わるとき、そこに愛はありますか

深景さんだってキスは相当上手い。


キスされるだけで彼に夢中になってしまうし、身体の力が抜けていくんだ。


何度も何度もしてくるけど、決して飽きることがない。


「何度も言ってるけど、俺雪花ちゃんのこと大好きなんだよね。どーしたら俺に振り向いてくれる?どーしたら深景じゃなくて俺を見てくれる?」


また変なスイッチが入ってしまったみたいだ。


好意を持ってくれるのは嬉しいけど、あまり強引にアプローチされすぎると怖く感じる。


「……やめよう、この話」


空調は効いていないはずなのに、なんだか肌寒い。


やたら信号が長く感じる。


「…じゃあ、その代わり雪花ちゃんも、茉莉愛の話金輪際しないでね?」


信号が青に変わったが、涼はアクセルを踏まない。


「…どういう意味?なんで?なんでそんなに─」


─ププッ


後ろの車がクラクションを鳴らしてあたしたちを急かす。