「……あの、深景さ─」


「今日の話には今後触れるな。聞かなかったことにしろ。唯にも聞くな。あれは俺と唯の問題だから。いいな」

 
深景さんは早口にそう捲し立て、それきり口を開かなかった。


あたしは部外者。


ふたりのことを何も知らない赤の他人。


改めてその現実を突きつけられた気がした。


たった一回、たったの一回だけ身体を重ねただけで、あたしは何を期待しているんだろう。


深景さんはあたしになんてこれっぽっちも興味ない。


あたしのことなんてどうとも思ってない。


唯さんのことしか見ていない。


あたしは彼にとってどうでもいい存在だ。


都合のいい女、ちょうどいい遊び相手。


それ以上の何者でもない。


あたしは、彼のことに立ち入っちゃいけないんだ。


あたしがどれほど気になっていようとも。