だがしかし。その現場は、最悪なものになっていた。
神崎さんと俺は、救急車で運ばれることに。
 赤羽も銃で撃たれたということで、取り合えず
別の救急車で運ばれることになった。
 そこには、瀬戸さんも付き添うが……。

だが、運転途中で突然赤羽が目覚め救急隊の人を射殺。
 運転手も脅し移動させてからその場で殺した。
 救急車は、あっという間に血で塗られ
そばには、死体が転がっていた。

赤羽は、自分のPCウォッチを使い仲間に連絡。
 迎えに来させた。
瀬戸さんは、黙ったままタバコを吸っていた。

 「これで良し。ふぅ~防犯チョッキを着ていて
血のりを使ったにしても2発も撃つなんて
なかなか酷いよね……神崎君は。
 それよりも君もご苦労だったね?瀬戸君」

赤羽は、瀬戸を見ながらニヤリと笑った。
 すると瀬戸は、ため息混じりにタバコの煙りを吐き出し
吸い殻と一緒にタバコを捨て足で踏みつけていた。

 「しかしあんたも良くやるよな。犯罪だけでは
飽きたらず立花君を使って先輩を殺そうだなんて。
 もしあの時に立花君が自殺したらどうする気だったんだ?
せっかく捜していた弟を失うところだったんだぞ?」

 「フッ……それは、その時までだよ。もし仮に
自殺したとしてもその程度の人間だったってことだろ。
 どんな事があっても他人のせいにして生きることに
執着する人間こそ赤薔薇会に相応しい。
 君ならその気持ちが分かるだろ?瀬戸君……」

 「馬鹿を言え。俺は、人のせいにしてまで
生きるのに執着している訳じゃねぇーッスよ。
 俺があんたに協力するのは、たくさんのミステリーを
間近で体験出来ると聞いたからだ。
 別に仲間に入った訳じゃない」

「あぁ……そうだったね。君は、ミステリーものは、
 主人公の探偵や刑事より犯人に推しているぐらいに
犯罪が好きなマニアだったね」

 赤羽は、見透かしたようにクスクスと笑う。
それを聞いていた瀬戸は、不服そうに舌打ちをする。

 そう……瀬戸嵐は、犯罪マニアだった。
 あらゆる犯罪をリスペクトしており、その中で
赤薔薇会の犯罪に興味を抱いていた。
 他にも理由があるらしいのだが、それはまだ謎だ。

 「それに……あの子が神崎君を撃てないことぐらい
分かり切っていた。
 殺人の英才教育を受けてきた僕と違いあの子は、
何も知らない普通の子だ。
 だから少しずつ内側から飼い慣らさないといけない。
それにどちらにしろ神崎君には、ダメージが大きい。
 伊波君の時だってそうだ。実の弟を失い、絶望していた時に華の雫で錯乱させた。
 そして命令に背く程度に量を調整させて自殺するように仕向けた。
 大切な幼なじみである彼を守るために死を選ぶようにね」

「鬼畜だな……あんた」

「お褒めの言葉ありがとう。さぁ、楽しみだ。
 彼らは、一体どうやって僕に立ち向かい
そして協力するのか……フフッ……」

 赤羽は、楽しそうに笑っていた。
それは、終わりではなく始まりの瞬間だった……。