確かに。伊波君の話をしたら神崎さんは、
複雑な気持ちになるだろうな。
 俺だとしても罪悪感で押し潰されそうになるだろうし

「分かった。神崎さんには秘密にしておくよ」

「ありがとう。フフッ……松本君から聞いていた通りで
いい人で良かった。
 これからも仲良くしてくれたら嬉しいな。
あ、携帯番号聞いてもいい?」

「うん」

俺は、伊波君に番号を交換した。
 その後は、料理が来たので楽しく食事をした。
 伊波君は、ここのお店に来たのは、初めてらしく
しょうが焼きを食べて美味しいと言っていた。
 話していて確かに松本の言う通り伊波君を紹介したいのも分かる。話も面白いし
 しかし本当に驚いたな。こんな偶然もあるんだって……。

改めて神崎さんのことを知ることが出来た。
 前からミステリアスで知らない部分が多かったけど
思ったより複雑な環境の人だった。
 一体どんな想いで過ごしてきたのだろうか?
俺には、知る由もなかった……。

 その後。強盗の犯人の身元が分かった。
やっぱり神崎さんの予測通りお互いに面識も無く
 集められたメンバーだった。だが捕まった2人は、
小さな犯行だったらしいが、死んだリーダー格の犯人だけ
 赤薔薇会と接触が合ったんじゃないかと言われていたらしい。
だが結局死んだので、それも謎のままになった。

だが赤薔薇会は、それすら楽しんでいるように
不敵に笑っていた。

それは、暗い部屋でPCプロジェクターで大きな
ポログラフの画面でテレビ電話をするある人物だった。

『指示通りに事が運びましたね。残りは、何も知らずに
犯行を手伝ったに過ぎませんし、こちらの接点もありません。
 殺す予定の大島も無事に死んでくれましたし
ただ神崎が殺しそびれたのが残念ですが……」

『いや…むしろ想定内だ。これは、あくまでもパフォーマンス。
 それに僕らの企みに気づかないほど彼は、馬鹿じゃない。
 フフッ……むしろその思惑に気づいた時の彼は、
さらに楽しませてくれるだろうね。あぁ……楽しみだ』

そう言いながら不敵な笑みを溢していた。
 赤薔薇会の企みは、新たな犯罪の幕開けになった。