「これは、まだ販売していないヤツだが
 キンホルダー型のPCウォッチだ。
中身は、ほとんどPCウォッチと同じ役割をする」

えっ?それって……。
 よく見ると赤く光っていた。
これは……!?防犯システムが発動しているじゃないか。
 PCウォッチには、防犯機能がある。
自分が危ない目に遭った時にそれを起動させると
GPSを通して警察に連絡が行くようになっている。

 つまり今、防犯システムが発動して
警察が神崎さんのGPSを頼りに、こちらに
様子を見に来てくれるはずだ!
 しかも居場所が銀行なら何かが起きていると
気づいてくれるだろう。
そうしたら外からサイレンが鳴り響いた。

や、やった……警察が来てくれたんだ!?
俺が、喜んでいると慌て出した犯人達。

「な、誰だ?パトカーなんて呼びやがった奴は!?」

「…許せねぇ~!!殺してやる」

もう1人の犯人が逆上してあちらこちらに拳銃を発泡した。
 花瓶が割れてあちらこちらに穴が空いた。
ま、まずい……このままだと人に当たってしまう!
 すると神崎さんは、俺にコソッと話しかけてきた。

「立花。隙を見て何でもいい……相手の気を逸らせろ。
その間に俺が何とかする」

「えっ?あ、はい……」

 何が何だか分からないけど、とにかく神崎さんの
言う通りにする。俺は、近くにあった他人の雑誌を
丸めて犯人目掛けて投げた。
 もう……半分やけくそだった!!

運良く犯人の1人に命中する。すると
その時だった。神崎さんは、勢い良く飛び出すと
 その犯人の1人に回し蹴りをする。
倒れた犯人は、拳銃を落とした。

 もう1人の犯人は、慌てて神崎さんに目掛けて
発砲するが神崎さんは、素早く回転するように避けて
落とした拳銃を拾いあげた。
 そしてもう1人の犯人の腕とスプリンクラー目掛けて撃った。

スプリンクラーは、撃たれた衝撃で誤作動を起こし
勢いよく水が出てきた。慌てる犯人達。

「くそっ……絶対に許せねぇ!!」 

残った犯人の1人が神崎さんに拳銃を向ける。
 しかし濡れた床のせいで後ろに尻餅をついてしまう。
 神崎さんは、それを見逃さずその犯人に向かって
回し蹴りをした。見事にヒットして気絶する。
や、やった……!!