神崎さんが帰ると言い出したので俺も
慌てて帰る準備をした。
 瀬戸さんに頭を下げると急いで病室から出た。
相変わらず急だし。

冷静沈着な割には、たまにせっかちな部分もあるし
よく分からない性格をしている。
 不思議に思いながらも横を歩いていると神崎さんが
思い出したように口を開いた。

「あ、そうだ。帰りに銀行に寄るぞ。
振り込みがあるのを忘れていた」

「えっ?は、はい。分かりました」

 こんな時に銀行!?
やっぱり神崎さんは、謎が多い。
 見た目は、クールで落ち着いた感じだが
普段の性格は、ひょうひょうとして掴み所が無かったり
ミステリー好きだったりする。だが、たまに
 ミステリアスで奥底に何かを隠している部分が
見え隠れしたりもした。

どれが本当の神崎さんなのか分からない。
 俺の知らない神崎さんがあるのだろうか……?
横に歩きながらそんなことを考えていた。

そして銀行までは、神崎さんの車で向かった。
 駐車場に車を停めると中に入って行く。
受付番号の紙を取ると席に座って待っていた。
 人もそれなりに居た。しばらく待っていると……。

自動ドアが開き3人の覆面をした男達が入ってきた。
 拳銃を構えて天井に向かって撃ってきた。えっ!?
まさかの銀行強盗だった。

「おい、金を出せ。大人しくしないと撃つぞ!?」

そう言いながら拳銃で何発か撃つたびに周りから
悲鳴が飛んだ。お、おいマジかよ!?

「さっさとカバンにあるだけの金を詰めろ。
変な真似をしてみろ?頭をぶっ飛ばすぞ」

「貴様らは、PCウォッチを置いて一カ所に集まれ。
騒いだり、勝手な事をしてみろ?
すぐに殺してやるからな」

犯人の男は、興奮気味にそう言ってきた。
 そして、俺と神崎さんを含めて一カ所に集められ
座らされた。PCウォッチは、没収されたため
外部から連絡が出来ない。

 くっ……どうしたら。
まさか今度は、銀行強盗の人質になるなんて
 俺は、どれたけ運が無いんだと嘆きたくなった。
すると隣に居る神崎さんは、ため息を吐いた。