私の日記

10月8日の私の日記には、

最悪な事が記されている

《諦める》

別に、好きになることを諦める訳ではなくて、悩むのをやめるだけ。

でも、それも辛い。

少しでも彼のことを忘れようとしても忘れられなくて。

きっかけは沢山あるけれど、その日の技術の時間に決定づけた。

         ♥

それは3·4時限目の授業だった。

夏帆ちゃんと瞳ちゃん、しーちゃんの4人組でとろりとした足取りで技術室に向かった

着いた時にはもう皆席に着いていて、ガヤガヤとした雰囲気だった。

番号順は優多→私という順だった為、同じ班だった。

ただ、教室が狭いため、どこで作業をしてもいいが、話を聞く時は班でまとまる、と決められた。

「あれ、椅子ないじゃーん」

しょうがなく隣の椅子を持ってこようとした時──

「愛ちゃんこっち座りな!!」

と、優多の隣に居た葉月が立った。

「え、いいよ、イス持ってくる。」

前の技術の時間も隣に座ったから、もう懲り懲りだった。

「いいから!」

瞳ちゃんと夏帆ちゃんも席が近くて、私を押してくる。

「ほら、座んな〜」

ニヤつきながら言ってきた。

あぁ、これは無理だ。

彼女たちが1回その気になれば終わらない

「わかったよ…」

優多は後ろを向いていた。

「優多、生徒会の紙書いてるよ、時間ないから」

ぐししと笑いながら葉月が言ってくる。

(そういえばまだ終わってないのか。)

優多が考えている計画は、高校受験の時に

『中学校では、なんの委員会だった?』

『生徒会です!』

『はい、合格!』

と言われたいらしい……。

でも、休み時間にはしっかりと生徒会選挙に向けての仕事をしている。

そんな彼を応援すべく、私は優多に投票することを決意した。

下を向いていて、こちらには気付きそうもない。

「愛ちゃん、1人来るからもうちょっとそっち行って」

葉月が話しかけてきた。

「もう…!だからそっちでいいのに。」

「いいじゃん」

にひっと笑った葉月の顔はお茶目でとても可愛い笑顔だった。



3時限目は班の隣の空いている机で、

4時限目はあの4人グループで作業をした。

そして、片付けが終わった頃。


「はいじゃあ席に着けー」

皆がダルい足取りで席に着き始めている頃は、優多はもう座っていた。

私も席に着くと、座り直した優多と背中がピタリと当たった。

「…!」

ふと後ろを向くと、優多はゆっくりと離れていった。

(それだけで…。そんなに…嫌い?)

悲しくて、苦しくて、涙が出そうで、とにかく辛かった。

4人で作業をしていた時とは正反対の気持ちになった。