ここまでくるともう笑うしかないみたいで、瀬那先生はおもしろがって……私の耳元で、色っぽくささやいた。



「……エッチのことだよ」



強力接着剤のごとく、固まる私。

そして、耳元にささやかれたことにより耳がぞわぞわする……。



「心配しなくても、しないから安心しろ」

「……」

「つむぎー、おーい」

「……」

「俺、もう行くぞ?」

「……」



頭の中で"エッチ"という言葉が何回もこだまする。

私の人生で初めて直接耳にする言葉。



一切動かない私を動かすため、最後に私にキスをする瀬那先生。

私は、それでハッと意識を取り戻した。



「あ……瀬那先生、じゃあ、学校でね……」

「おう。また明日な」



瀬那先生は、そう言って去っていった。